中国にパソコンを持っていく際の準備と注意点【通信機器持ち込み規制も解説】
この記事では、中国にパソコンを持ち込む際の準備や使用時の注意点について徹底解説します。
中国への渡航では、仕事や留学などでスマホ以外にもパソコンを持っていく機会が増えています。中国は日本とは違い、インターネット状況や国の法律が大きく異なります。そのため、どんな規制や手続きが必要なのか気になる方も多いはず。とくに、出張で使用するパソコンであれば、機密情報の漏洩や検閲など、不安に思う方もいるでしょう。
そんな中国へのパソコン持ち込みについて、具体的な規制や法律まで詳しく解説していきます。また、航空機内への持ち込みや中国国内でのパソコン使用についても紹介しますので、PC持参を検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
中国へのパソコン持ち込みに規制はない
中国へのパソコン持ち込みについて、申請書も規制もありません。
以前は「商用暗号規制」という、中国国内での暗号化製品の使用、研究開発、商品の販売は中国が統制する制度がありました。具体的には、パソコンやソフトウェアなど暗号化されたものを中国国内へ持ち込む際は、申請して中国の許可が必要でした。
しかし、2017年に特別な申請が不要となり、現在は検閲もなく自由に持ち込みができます。
中国渡航時にパソコンを機内に持ち込む際のルール
まずは、中国渡航でパソコンを機内に持ち込む際のルールについて、解説します。
パソコンやタブレットなどの電子機器は、機内持ち込みが基本です。荷物受託もできますが、紛失や故障の補償がないため、機内への持ち込みが推奨されています。特に、出張であれば、さまざまなリスクを考えると、機内へ持ち込むのが安心です。
ただし、機内へ持ち込める大きさや数量が限られているので、どうしても荷物として預ける際は次の点に注意しましょう。
- 電源をオフにする(スリープは禁止)
- 故障しないようクッション性のあるものに入れてスーツケース内で動かないよう固定する
- バッテリーは袋やケースに入れ、発火しないように工夫する
パソコンやパソコン関連の周辺機器については、次のようなルールがあるので参考にしてください。
国際線の電子機器やバッテリーの規定
パソコンやスマホ、モバイルバッテーなどの電子機器に関しては、主に次のような規定があります。
電子機器またはバッテリー | 申告*1 | 機内持ち込み | 手荷物預入 |
---|---|---|---|
①リチウム含有量が2g以下 または定格エネルギーが100Wh以下のもの |
不要 | ◯ | ◯ |
②リチウム含有量が2g以上8g未満、 または定格電力量が100Wh以上160Wh未満 |
必要 | ◯ | ✕ |
③160Whを超えるもの | ー | ✕ | ✕ |
予備用バッテリーとモバイルバッテリー | 不要 | ✕ | ◯ |
ノンワイヤレスイヤホン*2 | 不要 | ◯ | ✕ |
*1申告に関しては、中国の航空会社「中国南方航空」を参考にしています。申告の有無については、各航空会社のホームページで確認してください。
*2ノンワイヤレスイヤホンは日本では「機内持ち込みは可能だが、手荷物預入はできない」と明記されています。中国の航空会社によっては条件が異なるため、必ず事前に確認しましょう。
お手持ちのパソコンが①〜③のどれに該当するかは、パソコン本体や説明書で確認してください。なお、ゲーム専用パソコンのような特殊な物を除くと、リチウム電池のWhは次のとおりです。
- 携帯電話は3~10Wh
- 一眼レフカメラは10~20Wh
- ビデオカメラは20~40Wh
- タブレットやノートパソコンは30~100Wh
ポケットWi-Fiのバッテリーやスマホ用のモバイルバッテリーは荷物預入できないため、必ず機内へ持ち込みましょう。
また、機内へ持ち込める予備のバッテリーは、各航空会社によって異なります。
- ANA・JAL:2個まで
- 中国南方航空:15個まで
- チャイナ・エアライン:申告無しで14個まで
- エア・チャイナ:2個まで
こちらもあわせて確認しておきましょう。
国際線への機内持ち込みの規定
パソコンを機内へ持ち込む際は、機内に持ち込める荷物の規定は次のとおりです。
大きさ (長さ・幅・高さ) |
重さ | 数量 | |
---|---|---|---|
中国南方航空 | 55cm×40cm×20cm | 8kg | ファースト・ビジネス:2個 プレミアムエコノミー・エコノミー:1個 |
チャイナ・エアライン | 56cm×36cm×23cm | 7kg | ビジネス:2個 エコノミー・プレミアムエコノミー:1個 |
エア・チャイナ | 55cm×40cm×20cm | ファースト・ビジネス:8kg プレミアムエコノミー・エコノミー:5kg |
ファースト・ビジネス:2個 プレミアムエコノミー・エコノミー:1個 |
ANA・JAL | 55cm×40cm×25cm | 10kg | 2個 |
パソコン1台も手荷物1個とカウントされるので、上記を参考にしながら、持ち込み方を工夫しましょう。
中国でパソコンをネット接続する際は規制がかかる
中国ではネットの制限や検閲があり、自由に使えません。中国の使えないサービスを、日本と同じように自由に使う方法を紹介します。
中国のインターネット状況
中国では「グレート・ファイアウォール」という検閲システムがあり、厳しいインターネット規制が行われています。そのため、中国では次のようなサービスが利用できません。
使えないサービス | 使えるサービス | |
---|---|---|
メッセージ | LINE・Facebook・ Instagram・X(旧Twitter) |
携帯電話のSMS |
メール | Gmail | Yahooメール・Outlook |
検索エンジン | Google・Yahoo検索 | Bing |
動画 | YouTube・ニコニコ動画・NetflixやTverなど | ー |
クラウドストレージ | Google Drive・Dropbox | One Drive |
コミュニケーションツール | Google Meet | ZOOM・Skype・Slack ・Chatwork・Microsoft Teams |
ショッピング | Amazon Japan*・Yahooショッピング・楽天市場など | ー |
その他 | ChatGPT・Googleマップ | ー |
* 日本の「Amazon Japan(Amazon.co.jp)」も、アメリカの「Amazon(Amazon.com)」も、いずれも中国では利用できません。
日本で馴染みのあるSNSや動画コンテンツ、ショッピングサイトはほとんど使えません。一方、ZOOMやChatworkのような仕事で使うツールは利用できます。今のところ、主要な仕事関連のツールは問題ないですが、使えなくなる可能性もあるので、常に最新情報をチェックしておきましょう。
上記のツールが使えないなら、通販サイトや決済手段、地図や交通系のアプリなどは、中国独自のアプリを利用するほうが便利です。例えば、Googleマップは使えたとしても正確ではないため、中国の「百度地図」を利用したほうがよいでしょう。
中国のアプリやサービスを利用したとしても、クレジットカードの番号やパスワードが政府に見られる心配はありません。
中国でよく使われるツール | |
---|---|
SNS・メッセージ | WeChat(微信)、Weibo(微博) |
検索エンジン | Baidu(百度:バイドゥ) |
メール | 163.com |
動画サイト | TikTok、Youku |
コミュニケーション | Dingtalk、VooV |
クラウドストレージ | Baidu Cloud、Huawei Cloud |
地図 | 百度地図、高徳地図 |
決済 | 支付宝(アリペイ)、微信支付(ウィーチャットペイ) |
ネットショッピング | 淘宝网(タオバオ)、JD.com(京東)、TMALL(天猫) |
通信に関しては不安定な面もあるので、VPNを利用したインターネット手段をおすすめします。
VPNを利用すれば規制や検閲を回避できる
VPNとは「Virtual Private Network(バーチャル・プライベート・ネットワーク)」の略で、ネット上に自分専用の回線を仮に作る仕組みです。この仮の回線を作ることで、日本のVPNサーバーに接続すると、中国からのアクセスが日本からのアクセスのように偽装できます。また、通信内容が暗号化されるので、中身が判別できないというセキュリティ対策にもなります。
基本的に、中国でインターネットを使う場合、すべて政府によってすべて閲覧されているので、仕事でパソコンを使う方は、機密情報の漏洩を回避するためにも、VPNは必要です。
政府によるVPN規制の強化
VPNを利用すれば、日本と同じようにネットやサービスが自由に使えますが、完全に回避するの困難です。
近年では、中国政府がVPN対策を強化し、VPNの検出と遮断技術を進化させています。そのため、無料のVPNのようにセキュリティが脆弱なサーバーは使えなくなったり、有料でも接続が不安定になったりします。また、VPNの使用自体は違法となる可能性もあるため、長期的に使うには注意や対策が必要です。
中国でパソコンを規制なしで使う方法【事前準備と接続手順】
中国の規制を回避するには、VPNが必要ですが、そのVPNの機能付きのネット接続方法を紹介します。中国でインターネットを利用する手段は、現地のWi-Fiを利用する方法がありますが、中国政府の検閲や規制があるため、安心して利用できません。とくに、出張でパソコンを利用する場合は、セキュリティ対策が万全なポケットWi-Fiを利用しましょう。
パソコン接続の必需品
中国でパソコンを使う際に必要なのが、以下のものです。
- 電源アダプター
- 予備バッテリー
- 延長コード
電源アダプターはマストですが、パソコンやスマホを頻繁に使うなら、予備のバッテリーも持参すると安心です。また、ホテルや宿泊施設などでパソコンを使う際は延長コードがあると便利でしょう。なお、電源プラグもバッテリーも機内持ち込みには注意が必要なので、規定を確認しておきましょう。
海外では日本とコンセントの形状や電圧が異なるため、変換プラグや変圧器を準備しますが、中国ではあまり必要ではありません。
- 中国のコンセント形状は日本同じAプラグ、もしくはCやO2プラグ
- 中国の電圧は220Vだが、パソコンのような電子機器ならば対応可能
予備にO2プラグを準備するか、パソコン以外で日本の電化製品(ドライヤーなど)を持参する際は変圧器を準備しましょう。
パソコンをポケットWi-Fiに接続する手順
パソコンをポケットWi-Fiに接続する手順は以下のとおりです。
- ポケットWi-Fiの電源をオンにする
- パソコンの設定から「Wi-Fi」をオンにする
- 該当するポケットWi-Fiを選択する
- パスワードを入力する
ポケットWi-FiのIDもパスワードもポケットWi-Fiルーターに書かれているので、確認しましょう。VPNを利用するための特別な設定は必要ありません。もし、設定が分からない場合は、24時間365日サポートしてくれるサービスを選ぶのが安心です。
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中国でパソコンを持ち込み・使用する際の注意点
中国にパソコンを持ち込む際と使用する際の注意点を解説します。
- 中国の新規定でパソコンなどの電子機器を検閲される可能性がある
- SNS上でのコメントに気をつける
- 中国で禁止ワードの検索しない
詳しく解説します。
中国の新規定でパソコンなどの電子機器を検閲される可能性がある
2024年7月1日より国家安全機関行政執行手続の規定が改正され、反スパイ法が強化されました。この規定は、国家安全機関の局員(反スパイや反革命家を取り締まる機関)にスマホやパソコンなどの電子機器を検閲する権限が与えられるもので、個人(観光者も含む)や企業などすべての人が対象となる可能性があります。
反スパイ法は以下のとおりです。
- 中国国家への反スパイ活動や行為を阻止・防止し処罰するための法律
- 取り締まりの対象者は、組織や個人(外国人観光客も含む)
- 反スパイの行為とは、活動の参加や誘引、賄賂などの資金援助、国家機密に関わる文献やデータ、物品も対象
- 反スパイ法を犯した場合、警告、15日以下の拘留、罰金
- 2024年改正された部分:反スパイ行為があった場合は、スマホやパソコンの電子機器のデータやメール、画像などを閲覧できる
今までスマホやパソコンの写真や映像を消去するような命令がありましたが、この規定により直接パソコンの中身を検閲できるのが容易になったと言えます。
現在のところ、この規定により空港や中国国内でスマホやパソコンの検閲があったという事実はないようです。旅行者や出張者は過度に心配しなくてもよいですが、情報の管理方法をしっかり対策する必要があります。また、中国国内でスパイと疑われるようなタブー行為をせずに、言動や行動を慎みましょう。
SNS上でのコメントに気をつける
中国では「WeChat」や「Douyin(TikTok)」など独自のSNSが人気です。日本の企業や芸能人から中国在住の日本人まで多くの人が利用しています。これらのSNSは当然、中国の検閲の対象です。中国でパソコンやスマホでSNSを利用する際は、発言には十分に注意しましょう。
中国の政治や共産党に関わる話題、日中関係などセンシティブな内容の発言は控えてください。実際、中国政府によるアカウント閉鎖や投稿削除は常に行われています。また、中国のSNSを利用しなくても、中国国内での発言や写真などの投稿も配慮したほうが良いでしょう。
中国で禁止ワードの検索しない
中国のインターネットでは、検索しても閲覧できないワードがあります。いわゆる「検索禁止ワード」で、次のようなものが該当します。
- 六四天安門:天安門事件に関わるワード
- 台湾独立:台湾独立に関するワード
- ウルグアイに関するワード
- 国家主席や共産党に関する過去や関連用語
中国の検索サイト「百度」などで使うと、一時的にインターネットが使えなくなります。また、何度も使用すると、中国政府からの監視が強化され、中国で仕事を行う上で、かなり不都合が生じます。VNP付きのインターネットであっても、いつ規制の対象となるかわからないため、検索しないほうが無難です。
また、中国国内では駅や博物館の入場時などいたるところで、荷物検査が厳しく行われています。パソコンはなるべく、鍵付きの場所に保管し、持ち歩かないほうがよいでしょう。
中国で安全にパソコンを使うならポケットWi-Fi
中国でパソコンを持ち込んで使用する場合は、安全な通信環境が必須です。VPN付きで通信が安定し、スマホとの同時接続も可能なポケットWi-Fi一択でしょう。
どんなポケットWi-Fiを選んだらよいか迷うなら、海外WiFiレンタルショップがおすすめ。
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中国へパソコンを持っていく際によくある疑問
-
Q中国へパソコンを持っていく際に規制や検閲などはありますか?
A中国へのパソコン持ち込みに、申請や台数制限などはありません。空港でのパソコンの中身の検閲もないので、自由に持ち込めます。
-
Q仕事で使うツールは中国で使える?
A仕事で主に使用する「ZOOM」「Chatwork」「Microsoft Teams」などは利用可能です。今は利用できますが、常に最新の情報をチェックしましょう。
-
Q中国でパソコンを使用する際の注意点はある?
A3つの注意点があります。「中国の新規定でパソコンなどの電子機器を検閲される可能性がある」「SNS上でのコメントに気をつける」「中国で禁止ワードの検索しない」。詳しい内容は下記で確認し、行動や発言に注意しましょう。
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